
高校時代にこの問題の渦中にいて、学校行事について話しているのに左翼の急先鋒と思われるような青春時代を送った僕としては、いつかは描かなければいけない題材だと思っていました。
本作は、劇団代表作『ナイゲン』に続く「会議もの」ですが、それ以上に「自治」というテーマの部分で、スピリットの部分で、『ナイゲン』の延長線であり発展形です。
なお、国旗国歌そのものの是非を問う話ではありません。学校行事での扱いの是非を問う話でもありません。さらに言えば生徒・先生どちらかの主張を唱える芝居でもありません。
国旗国歌を巡って論争する両者、ひいては彼ら個人個人を、俯瞰して、客観視して、突き放して描きます。
それは「旗色を明らかにしたくない」という逃げでも「公平さを期したい」みたいなフェアプレー気取りでもなく、この作品がシチュエーションコメディだからです。
歌いたい老いも、歌いたくない若きも、歌わせたい男たちも、歌わせたくない女たちも、すべての立場を笑い飛ばす喜劇、生徒と教師の120分一本勝負をはじめます。
(脚本・演出 冨坂友)